インタビュー

30代までに学んだことを生かしてこれからもさらなるチャレンジを続けたい

プロフィギュアスケーター八木沼 純子

14歳でカルガリーオリンピックに出場し「ジュンジュン」の愛称で親しまれた八木沼純子さんも40歳になりました。長年出演してきたアイスショーを卒業し、今、新たな転機を迎えています。

みんなで作り上げるアイスショーの魅力

 国内外のトップスケーターたちが個性豊かなパフォーマンスを見せてくれるアイスショー、『プリンスアイスワールド』。八木沼純子さんは、日本で唯一のプロフィギュアスケートチームのリーダーとして、このショーを盛り立ててきました。2013年も4月の横浜公演からスタートし、名古屋、八戸、東京と移動して、9月の笠松公演で終了。それを最後に、八木沼さんも卒業しました。

「出演するようになって18年、チームリーダーとしては10年、振り返るとあっという間でした。アイスショーには、みんなでひとつのものを作っていくという面白さや充実感があります。いろんなスケーターたちがひとつにまとまり、一緒に頑張っていくというのは、競技とはまた違う楽しさです」と八木沼さん。

 毎年、シーズンが始まる1ヶ月前からチーム全体の練習がスタート。リンクに缶詰になり、深夜練習を繰り返しながら、プログラムを仕上げていくといいます。

「夜8時まで床で練習したあと、8時から氷の上に移動し、終わるのは朝の4時か5時。そうやって作り上げた舞台をもって、シーズン中は各地を回るのです。産みの苦しみはありますが、できあがったときの達成感はなにものにも変えられないすばらしいものです」

演技の成熟度が増す選手の進化を楽しんで

「フィギュアスケートは自分で自分をプロデュースするスポーツ」と、八木沼さんは言います。

「衣装、メイク、ヘアスタイル、選曲、振り付けはもちろん、技術や表現力をいかに向上していくかも含めて、自分自身をプロデュースしていくことでさまざまな充実感を得られます。表現に完成はありません。だからこそ、いろんなアイディアが湧き出して、何年続けていても新しい発見があるんです。それはプロになってからも本当にそうです。5歳からフィギュアスケートを始めて、通算でもう35年。やめようと思ったことは何度かありますが、結局、スケート以上に面白いことが見つかりませんでした。私にとってはやはり、いちばん魅力的なものなのです」

 ソチオリンピックも近づき、メダルが期待できる有望な日本人選手もたくさんいて、かつてないほどの盛り上がりを見せているフィギュアスケート。見る側もまた、いろいろな楽しみ方ができるといいます。

「フィギュアスケートは見て、聴いて、楽しめるスポーツです。エンターテイメントとしての楽しさ、純粋に試合を応援するという楽しさ、いろんな楽しさがあると思います。ジャンプの種類など、ルールがわかればまた別の楽しみ方もありますが、それにはこだわらず、音楽や衣装、選手のイケメンぶりなどを鑑賞するのもいいのではないでしょうか(笑)。
 10月からすでに戦いは始まっていますが、グランプリシリーズが6戦あって、その中でも選手たちの演技はどんどん成熟していくと思います。そんな彼、彼女たちの進化する姿を見届けていくことでオリンピックまでずっと楽しめるのではないでしょうか。お気に入りの選手をぜひ見つけて、応援してほしいですね」

  • 1978年に誕生した日本初のアイスショー『プリンスアイスワールド』では、国内外で活躍するトップスケーターの演技を堪能できる。八木沼さんはチームリーダーとして活躍を続け、2013年公演で卒業。その華麗な演技には定評がある。

疲れは肌に表れるので日頃のお手入れが大切

 シーズン中は解説などの仕事で海外に行くことも多く、体調管理には気をつかうという八木沼さん。

「週に3~4回は加圧トレーニングに通い、家の中では毎日、腹筋と背筋を鍛える運動、そして寝る前のストレッチは欠かしません。長年、氷の上で過ごしてきたせいかとても冷え性なので、家に帰ったら必ず、40分ほど半身浴をしてしっかり汗をかきます。1年じゅう、足元は冷やさないようにして、夜も靴下を履いて寝ているんですよ」

 家で料理をすることも多く、高タンパク、低カロリーを心がけているそう。食事は3度とり、間食は極力しないようにしているといいます。

「体重を落としたいときは、鍋料理をよくしますね。薄味にして、野菜をたくさん入れます」

 40代に入り、疲れがとれにくくなってきたと感じることが多いそう。

「肌にてきめんに表れるので、普段からケアしていくことが大切だと、この年になって改めて実感しています。乾燥肌なので、就寝前にはクリームをたっぷりつけています」

 これからは、まだまだ自分の知らない世界に飛び込んでチャレンジしていきたいという八木沼さん。

「30代まで勉強してきたことを実践して、結果を見せていく年代に入ったのかなと思っています。そのためには日々、ひとつずつ今できることを積み重ね、自分なりに頑張っていきたいですね」

※虹色通信 2013年冬 号より

プロフィギュアスケーター

八木沼 純子

5歳からスケートをはじめ、早くから国際大会で活躍。1988年世界ジュニア選手権2位、同年14歳でカルガリー五輪に出場。1993年冬季ユニバーシアード大会優勝、同年アジアカップ優勝。1994年NHK杯3位。1995年プロに転向。プリンスアイスワールドのリーダーとしてアイスショーに出演する傍ら、フィギュアスケート競技会の解説、テレビやラジオでのスポーツキャスター、コメンテーターとしても多岐に渡り活動。2010年のバンクーバー五輪では、ジャパンコンソーシアム代表として日本中が注目した女子フィギュアスケートの解説を務めその興奮と感動を伝えた。2009年に結婚。家庭と仕事を両立しながらも輝き続ける女性として、新たなライフスタイルを実践中。

[ig]junko_yaginuma