酵母

「発酵」と「腐敗」の違いについて

「発酵」と「腐敗」の違いについて

この季節、食べ物などが傷みやすい季節です。油断すると食べようと思っていたものが腐ってしまっていたりなんて経験もあるのではないでしょうか。

身近なようで意外とはっきりとした違いがわからないものの一つに「発酵」と「腐敗」の違いというのがあります。

 「発酵」と「腐敗」の違い・・・これは答えから言ってしまうと現象としては同じものです。

その現象というのは何かというと、微生物の働きによって物質が変化することを言います。

「発酵」と「腐敗」の違いとはその物質の変化が人にとって有益であれば「発酵」と呼ばれ、有害であれば「腐敗」と区別されます。

よく納豆が嫌いな人が「そんな腐ったものを食べるなんて無理」というようなことを言っていますが、人間中心に考えた場合には、これは間違いで、納豆は「腐っている」のではなく、「発酵」しているということです。しかし、現象から見れば、発酵と腐敗の現象は同じですので、あながち間違っているというわけではないのかもしれません。納豆を放置しておくと「腐敗」するわけですが、これは状態が変化して人間にとって有害な変化を遂げたということです。

つまり発酵というのは、普遍的な現象を表す言葉ではなく、人間中心の概念をもとにした言葉といえるのです。まぁ、人間の勝手な言い分ともいえるかもしれません。

ただ、人は自然現象である「腐敗」から「発酵」を見つけ出し、発展させてきたのですね。「腐敗」を人為的にコントロールし、有用菌を選択・増殖させてつくられるのが発酵食品です。世界中にその土地の風土に合った発酵食品がたくさん生まれていることからも、「発酵」というのは自然の営みと、人間の知恵が融合した最高傑作といえるのではないでしょうか。