酵母

酵母の歴史

酵母は古くから様々な食品加工の場で役立ってきた人間にとってもとても関わりの深い生物です。では、酵母が発見されたきっかけは何だったのでしょうか?

酵母の歴史

酵母は、古代メソポタミア文明の頃から人々の生活に登場します。メソポタミアで発掘された板碑にはビール酵母を使った醸造の説明がかかれており、紀元前17世紀~14世紀のギリシャでも酵母を用いた酒造りの様子が残されています。

実は紀元前から利用されてきた酵母ですが、その発見は今から250年ほど前のことです。アントニー・ファン・レーウェンフックが発酵中のビールを調べていた際に微粒子状のものを発見しましたが、これがのちに発見される酵母であったとされています。そして、その後にパンを発酵させている段階にも同様の微粒子状のものが発見された結果、この微粒子状のものと発酵に関係があると考えられるようになりました。

ビールの歴史

「液体のパン」とも呼ばれるビールの歴史は古く、紀元前4000年以上前までさかのぼります。メソポタミアで人類が農耕生活をはじめた頃、放置してあった麦の粥に酵母が入り込み、自然に発酵したのが起源とされています。

最古の記録は、紀元前3000年頃にメソポタミアのシュメール人が残した「モニュマン・ブルー」と呼ばれる粘土の板碑で、ここに当時のビールのつくり方が描かれています。気温が高いこの地方では生水が飲用に適さなかったこともあり、安全性、栄養価とも高い飲み物とされていました。

パンの歴史

人類とパンの出会いは古く、何と起源前4000年頃まで遡ります。発祥の地は古代中央アジア・メソポタミア地方。人類最初のパンは、“無発酵パン”と呼ばれる薄く平たいものでした。現在もインドやパキスタンなどでポピュラーな「チャパティー」は、この無発酵パンの一種です。

一方、現在の主流となっているふっくらとした“発酵パン”は、ちょっとした偶然から生まれたといわれています。夏の日に、あるユダヤ人の女性が穀粉を水に浸そうとして、うっかり蜜を薄めたカメに入れ、そのまま忘れてしまいました。2、3日後、カメから甘酸っぱい匂いがしましたが、気にも止めずいつものように団子状に練って焼いたところ、一種の発酵パンができたそうです。これは野性酵母の働きによるものですが、それを当時の人々が知る由もありません。生地を寝かせてパンをふくらませる製法だけが定着していったのです。

味噌の歴史

日本人に馴染みの深い味噌??は、実は中国から伝来されたと考えられており、その歴史は飛鳥時代までさかのぼります。味噌の起源は、古代中国の大豆塩蔵食品の「醤(しょう・ひしお)」だと言われています。日本にいつ頃どのように伝来したかは、よくわかっていません。「醤」という文字が日本で初めてみられるのは「大宝律令」で、「未醤」という文字が書かれており、これが「みしょう」→「みしょ」→「みそ」と変化していったといわれています。

味噌は元々、地位の高い人の給料や贈り物として使われるなど、庶民には手に入らない贅沢品でした。鎌倉時代に「一汁一菜」という武士の食事習慣が確立し、味噌汁という形で食する方法が流行し、庶民の口にも入るようになったのです。室町時代には裕福な庶民の間での自家醸造も始まり、江戸時代に入ると工業的に生産されるようになりました。