日本酒ができるまで
日本酒の原料は何でしょうか。
そうです「お米」ですね。
そして、発酵には「酵母」が必要です。
しかし、お米と酵母だけがあればよいかというと、実はそれだけでは日本酒は出来ないのです。
お米には、酵母がエサとする糖分がないため、「麹(こうじ)」を使い、麹の酵素によってコメのデンプンを糖分に変え、酵母の力でアルコール発酵を行います。
ちなみに、この「麹」も微生物の一種ですが、この「麹」の正体は「ニホンコウジカビ」という日本特有の発酵菌で、名前のとおり、カビの一種になります。
カビというのは微生物の中では最も大きく植物と動物の中間のような不思議な生き物で、植物と構造は似ているのですが、植物と違って光合成はせずに、動物のようにエサを食べて生きています。カビは死んだ生き物を食べる分解者で、微生物の中でもとりわけ分解力が強いのが特徴です。
皆さんご存じの通り、カビは気づけばそこかしこに発生し、繁殖していきます。それはカビの適応力・生命力非常に高く、森の中でも水辺でも高気密のRCマンションのエアコン送風口でも容易に適応し、浴槽のはじっこにくっついた垢の栄養を食べて繁殖したり、本をボロボロにしたりするのです。
話を戻して麹についてですが、カビというと先ほどお話した人間に害をなす微生物だと思われがちですが、このニホンコウジカビをはじめとする発酵カビたちは、その強力な分解力を人間のために役立たせてくれるレアなカビなのです。
このニホンコウジカビはお米が大好物。お米のデンプン質を糖分に分解するのです。そして、ニホンコウジカビが成長し、お米のまわりを白い胞子で覆いつくし、米粒が白くモコモコした状態になります。これがいわゆる米糀と呼ばれるものです。
麹により分解された糖分をエサにして酵母がアルコール発酵を行いこれが日本酒になるのです。
≪日本酒の製造工程≫
精米→洗米/浸漬(しんせき)→蒸米/放冷→麹(こうじ)造り→酒母造り→醪(もろみ)・仕込み→上槽(じょうそう)→濾過(ろか)/火入れ→貯蔵/調合・割水→火入れ/瓶詰め